2012.04.05 Thursday
ロールプレイングフィクション『レッドドラゴン』(星海社)
【担当校正者より】 TRPG(テーブルロールプレイングゲーム)――ゲームマスターの司会進行のもと、参加者がそれぞれに考案したキャラクターになりきって物語を進めていく盤上RPG。 本書のタイトルでもある『レッドドラゴン』は、ある参加者たちのためだけに創られた、贅沢にして壮大なTRPGです。 このRPGの物語の軸は、タイトルのとおり<赤の竜>。 突然異変を来した<赤の竜>を巡り、5人のプレイヤーたちがそれぞれの立場と思惑を胸に旅を始めます。 彼らの運命を左右するのは、各自の取捨選択とサイコロの目。 予断を許さない展開に翻弄されながらも、駆け引きや協力、権謀術数を駆使してゴールを目指すプレイヤーたち。 本書には、そんな彼らのリアルな姿が忠実に描写されています。 しかし、本書はいわゆる小説ではありません。 この本を『レッドドラゴン』というゲームのノベライズやゲームブックだと思って読むと、その予想は早々に覆されることになります。 では、小説でなければ何なのか。 私なりの考えをいうと、これは「劇の脚本」――しかも筋書きのない劇の脚本――なのだと思います。 『レッドドラゴン』というのは、ひとつの大きな「劇」であると同時に、その中で演じられる「劇中劇」のことでもあるのです。 キャラクターを演ずるゲームの参加者たちは、まさに劇の演者。 彼らは劇(素の自分)と劇中劇(キャラクター)を自在に行き来しながら、物語を進めていきます。 そして読者は、その演者たちがアドリブによって進めていく劇の観客なのです。 生放送さながらに、私たちの眼前で繰り広げられていく『レッドドラゴン』という劇。 それは、ノンフィクション(現実)とフィクション(虚構)が融合した不思議な感覚を私たちに与えながら、誰も知らない未来へと突き進んでいきます。 あるいはハッピーエンドかもしれないし、あるいはゲームオーバーかもしれない。 旅の先にどのような結末が待っているのか。 「劇」はまだ、始まったばかり――。 最後に、個人的な印象を基に、この物語の登場人物たちを紹介すると――、 10歳にして人生を達観した少女・エィハを演じる、紅玉いづき氏。 巻き込まれ型の癒やし系な少年・忌ブキを演じる、しまどりる氏。 メイドと主従関係が倒錯した騎士・スアローを演じる、那須きのこ氏。 終始揺るぎなく我が道を行く暗殺者・婁震戒を演じる、虚淵玄氏。 そして、物語の鍵を握る謎の人物・禍グラバを演じる、成田良悟氏。 という豪華な顔ぶれとなっています。 役になりきった彼らの台詞は遊びを交えつつも真剣そのもの。 また、ゲームマスター(『レッドドラゴン』ではフィクションマスター)として司会を務める三田誠氏の当意即妙な進行ぶりには、密かなプロの業を感じさせられます。 繰り広げられる会話の妙を、ぜひお楽しみください。 個人的な見どころとしては、虚淵氏演じる婁震戒の「言動」を挙げたいと思います。 彼が何を言い、どう行動するのか、その目でお確かめください。 《文責:幹佳(校閲部)》
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